インサイドセールスで設定すべきKPI
インサイドセールスとKPI、昨今BtoBビジネスにて重要視される2大キーワードと言っても過言ではないでしょう。
インサイドセールスは、企業の営業数値目標達成のため、見込み顧客(リード)の獲得から商談、受注まで、すべての役割を担うこともあり、組織の営業活動でかかせない存在となってきています。
そのインサイドセールスの目標達成と成果のカギを握るのは、適切なKPI(英:Key Performance Indicator、重要目標評価指標)の設定と、KPI達成に向けた有効な施策の実施です。
しかし、業務に追われる中での適切なKPIの設定や、KPI達成に向けてのアプローチが困難と感じる方も多いのではないでしょうか。
また、KPIを設定し、実際にインサイドセールスが営業活動を行っても、なかなかアポイント獲得の確度が上がらず、またKPIの達成が困難などの課題を抱えている場合もあるでしょう。
当記事では、インサイドセールスで設定する主なKPIを紹介し、またKPIの達成に向けた施策について解説します。
インサイドセールスの解説はもちろん、設定が推奨されるKPIの詳細や押さえておきたいポイントについても含んでおり、インサイドセールスのKPI設定と目標達成にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
目次
インサイドセールスとは
昨今よく耳にするインサイドセールスですが、フィールドセールスやテレアポとはどう異なるのでしょうか。
インサイドセールスは米国が起源とされ、既存のフィールドセールスと異なり、主に架電やEメールなど、非対面方式を基礎とした営業活動を指します。
日本ではコロナ禍に入ってから内勤が主流となり、商談といった営業活動もフィールドの対面から非対面に移行せざるを得なくなった結果、多くの企業に認知されました。
その結果、インサイドセールスのノウハウを扱うウェビナーやセミナーが多く開催されるなど、従来のフィールドセールスからインサイドセールスへの移行機運が高まり、多くのBtoB企業がインサイドセールス部門を立ち上げることとなりました。
インサイドセールスはテレアポと異なり、獲得した見込み顧客(リード)に対する架電などを通じたアポイント獲得だけでなく、見込みが低いリードとのコミュニケーションを通じて、リードの温度感を高めるリードナーチャリングを主目的とします。
インサイドセールスは顧客との接触機会が限られるため、いかにリードナーチャリングを通じて顧客のニーズを顕在化し、アポイント獲得の確度を上げ、商談化から受注獲得までつなげるかが重要となります。
また、インサイドセールスはリードに対し架電するアウトバウンドコールが主流となりますが、インバウンド(着電)から始まるアプローチもあり、案件やビジネスモデルによって戦略と組織の運用を検討し、適宜見直す必要があるでしょう。
なお、インサイドセールスは架電から商談、受注まで一貫して担当することもある一方、アポイント獲得とリードナーチャリングのみに注力し、獲得したアポイントをフィールドセールスとつなげて連携を図るなど、営業部門の分業化を進めるための手段としても活用されています。
インサイドセールスの営業・アプローチ手法
それでは、インサイドセールスの営業手法、アプローチのうち、主流となるアウトバウンド営業について細かくみていきましょう。
インサイドセールスのアウトバウンド営業には、主に以下2種類があります。
- SDR「反響型営業」
- BDR「新規開拓型営業」
それぞれ見ていきましょう。
SDR「反響型営業」:獲得したリードに対するアプローチ
SDR(Sales Development Representative)は反響型営業と呼ばれ、主な定義としては、マーケティングやSEOによって獲得したリードに対するアウトバウンド営業を指します。
SDRのアポイント獲得率や受注率といった成果は、インサイドセールスのトークスキルのみならず、架電対象のリードの温度感にも左右されます。
たとえアポイント獲得に至らずとも、リードナーチャリングを通じてリードの持つニーズの顕在化と温度感を上げることによって、潜在的顧客を失うことなく、将来的に確度の高いリードとなることもあるでしょう。
BDR「新規開拓型営業」:見込みに対する自社からのアプローチ
BDR(Business Development Representative)は、新規開拓型営業と、自社が持つ見込み客に対してアプローチするアウトバウンド営業を指します。
BDRはSDRと異なり、マーケティングによってリードから能動的に接触のあった見込みへのアプローチではないため、アポイント獲得の確度は比較的低いと考えられます。
ただし、リードナーチャリングを通じて、マーケティングやSEOでアプローチし切れなかった潜在的顧客や、関連性の薄い顧客のニーズを顕在化することによって、新たなアポイントを獲得できる可能性もあるでしょう。
インサイドセールスで設定したい主なKPI
ここまで見てきたインサイドセールス。実際に運用する上で良く挙げられる課題のひとつは、どのようなKPIを設定すべきか、という点です。
そもそもKPI(英:Key Performance Indicator)とは、重要目標評価指標(重要業績評価指標とも言われる)の訳で、目標とするKGI(英:Key Goal Indicator)と呼ばれる経営目標達成指標を達成するために設けられる、定量的な中間目標と定義されます。
インサイドセールス部門の立ち上げ後は、KGIに即して、以下のようなKPIを設定しましょう。
- 架電数・架電率
- 商談化数・商談化率
- 受注数・受注率
- 受注額
- メルマガ開封率
各KPIは、達成すべきKGIやより上位の目標から逆算し、それぞれ段階的に定量的な目標数値に落とし込んでいきます。それぞれ具体的に見ていきましょう。
架電数・架電率
マーケティングやSEO、あるいは自社の持つ新規開拓顧客リストに対し、インサイドセールスの架電数と、全架電対象数を母数とした架電率をKPIとして設定します。
例えば、リードは商品に対して興味を示した潜在的顧客のため、アポイント獲得から商談、さらに受注までつながる可能性があり、リードに対する架電数と率の確保は、KGI達成のために重要な指標となると判断できます。
KPI設定時は、架電数に対する受注率を割り出し、目標受注額から逆算して、KGI達成に向けた必要架電数を把握するとよいでしょう。
例えば、受注単価100万円の商品を販売する際の目標受注額を1,000万円とする場合、架電50件あたりの商談化数が5件、うち受注数が1件とすれば、逆算して必要受注数は10件(目標受注額1,000万円/受注単価100万円)、架電数(KPI)は500件(受注数10件x架電50件)と判断できます。
また、架電数500件をKPIに設定する場合、架電率のKPIは100%(500件)となるでしょう。
インサイドセールス部門の立ち上げ初期は、リードへのアプローチ機会を増やすためにも、見込みに対する架電数が特に重要となります。
商談化数・商談化率
架電の結果、アポイント獲得により商談化した数と、架電数に対する商談化率をKPIとして設定します。
インサイドセールスはフィールドセールスと異なり、架電による顧客アプローチが主な営業手段となるため、架電からの商談化数・率はインサイドセールスのKPIとして有効です。
架電数のKPIで使用した例(架電数500件)をとると、商談化数のKPIは50件(架電数に対する商談化率は10%)となります。(目標受注額1,000万円/受注単価100万円=受注数10件必要、受注1件には商談が5件必要のため、受注10件x商談5件=50件)
顧客に対するヒアリングやリードナーチャリングなどのスキルを駆使し、受注までつなげます。
受注数・受注率
さらに商談の結果、受注につながった数・率も重要なKPIとなるでしょう。
マーケティングで獲得した確度の高いリードに対する商談は、顧客のニーズと販売するサービスのマッチングが前提となっていますが、実際に受注するかはインサイドセールスの腕の見せ所でしょう。
上述の例をとると、受注数のKPIは10件(必要な商談数50件に対する受注率は20%)となります。
受注額
受注額はインサイドセールスの最終的な売上額となり、KGI達成に向けより直接的に影響するKPIとなります。
受注単価は販売する案件や商品毎に異なると考えられるため、受注額のKPI設定時は、複数案件を担当するセールス毎ではなく、案件毎の設定が望ましいでしょう。
メルマガ開封率
リードや潜在的顧客に対して送付するメルマガの開封率は、架電前後のざまざまなフェーズで有効なKPIといえます。
開封されないことも多いメルマガですが、顧客に対する接点の多くが架電に限られるインサイドセールスにとっては、有効な訴求によるメルマガへの引き込みは、重要な接触機会のひとつとなります。
インサイドセールスの成果を最大化:KPI達成に必要な施策
これまでインサイドセールスで設定したいKPIについて説明してきましたが、実務上でのKPI達成には多くの困難が伴うでしょう。
そこで、以下ではインサイドセールスのKPIおよび目標達成に資する具体的な施策をいくつかご紹介します。
リードや見込み顧客リストの精度を高める
獲得したリードや自社の持つ見込み顧客リストの精度は、インサイドセールスの成果の最大化、さらにKPI達成のために重要な要素となります。
例えば、一般的に確度の高いリードは、自社が提案する商品の価値と、リードが持つニーズがマッチしていると考えられ、リードは同商品に対して高い関心があると判断できます。
そのため、潜在的顧客のニーズと販売商品が確実にマッチングする質の高いマーケティングが、精度の高いリード獲得につながります。
一方、例えば商品の訴求とは異なる要素で獲得されたリードの場合、上述のマッチングがなされておらず、リードナーチャリングの難度は高くなると同時に、架電によるアポイント獲得率は下がり、たとえ商談が進んでも失注する可能性が高まると考えられます。
この場合でも、一度は商談や受注に至らなかったリードはリスト化し、中期的な目線で見て、適切な時間を置いたのちに再度追うなど、リードの確度や状況によるリスト選別も重要でしょう。
マーケティングによるターゲット選定や訴求の最適化は、その後のインサイドセールスの成果とKPI達成に大きく影響するため、確実な検証に基づいた適切なマーケティングが肝要です。
スクリプトの型化によるスキルへの非依存
インサイドセールスが架電時に使用するセールススクリプトの型化は、インサイドセールスの成果の最大化を狙ううえで重要な施策です。
インサイドセールスはテレアポと同じく、個人の能力が成果を左右し、その結果KPIの達成が、一部の優秀なセールス頼りになる属人化が起こると考えられます。
インサイドセールスの属人化が起こると、優秀なセールスが退職した場合など、KPIの達成が困難となる可能性があります。
どのようなセールスでも一定の成果を上げ、組織全体で一丸となってKPIを達成するためには、すべてのプロセスでスクリプトを型化し、画一的なアプローチとすることによって、架電の冒頭からクロージングまで個人のスキルに依存しない体制の構築が肝要です。
また、スクリプト型化のメリットは、受注率を上げる、属人化を防ぐのみならず、架電中にリードからリジェクトされた場合のストレス軽減という側面もあります。
そもそもセールスは、営業活動がうまくいかなかった場合、自身のスキルや生産性を疑いがちで、人によっては多大なストレスを感じる原因ともなっています。
しかし、型化されたスクリプトに沿った架電によって、リジェクトはスクリプトに沿った結果であり、個人のスキルが原因ではない、と考えることができます。
さらに、事業が拡大するにつれて、インサイドセールス部門の人員数も増えた際も、型化されたスクリプトを用いることでセールスの育成が容易になるでしょう。
ターゲット顧客との接続チャネルを確保する
インサイドセールスはフィールドセールスと異なり内勤の非対面営業のため、顧客との接点が限られることから、機会損失を防ぐため、潜在的顧客との接続チャネルは可能な限り多くかつ多様な層で確保しましょう。
例えば、リードを獲得する過程では、マーケティング広告のみならず、SNSを利用するなどアプローチするチャネルを拡大し、顧客との接点を多く確保します。
さらにリソースがある場合は、自社によるウェビナーやセミナー開催や、展示会での自社商品・サービスの宣伝なども、見込み創出に有効な施策です。
リードに対し架電したが繋がらなかった場合などにEメールを送付したり、SNSでダイレクトメッセージを送ったり、また有効と判断する場合は、直筆の手紙を書くこともリードの意識醸成が見込めるでしょう。
このように、接続チャネルの確保はリード獲得前と架電後で目的が異なりますが、上記のような施策は、リードナーチャリングの一貫として接点を増やすことで、顧客の温度感を高め、機会損失を回避し、インサイドセールスの成果を上げるために有効と考えられます。
自社内での成功事例の共有
インサイドセールス部門の立ち上げ後、営業活動を続けるなかで蓄積される成功事例(ベストプラクティス)を部門内で共有することで、インサイドセールスの精度向上と成果増大が見込めるでしょう。
また成功事例を適切に分析することによって、案件毎に異なるリードの行動原理などを把握し、型化したスクリプトに加え、適切なタイミングで適切なアクションが取れるよう調整しましょう。
インサイドセールスの課題解決はASHIGARUまで!
インサイドセールスで思ったようにアポイント獲得できない、また社内にインサイドセールス部門を設置したいがリソースとノウハウがない、といった課題をお持ちではありませんか?
特に自社のリソースが限られる場合、アウトソーシングも有効な解決策のひとつでしょう。
多くの企業にご利用いただいている当社のインサイドセールスサービスASHIGARUは、インサイドセールスによる顧客のセールス代行を通じ、顧客の課題解決、事業拡大、恒常的な成長に貢献します!
確度の高いアポイント獲得のための独自のトークフレーム設計
ASHIGARUは、独自のインサイドセールス用トークフレームを設計し、高いアポイント獲得率を誇り、過去リード(コールドリスト)も商談に変えることができます。
トークスクリプトは顧客の風評を損なわないよう細心の注意を払い、さらにトークフレームはインサイドセールスの結果を分析し、定期的に見直し改善することで、常に最善となるよう努めます。
高い受付突破率とナーチャリングまで一気通貫のフォロー
ASHIGARUは、経験豊富なセールスと洗練されたトークフレームにより、高い受付突破率を誇ります。
キーパーソンとの折衝では、現場受注率を上げるために徹底したBANTヒアリングを実施します。(BANTは「Budget:予算」、「Authority:決済権」、「Needs:ニーズ」、「Timeframe:導入時期」の頭文字からなる略語で、それぞれ4つの質問項目をさします。)
さらに架電のみならず、資料送付からリードナーチャリングまで、一気通貫で全体を確実にフォローします。
このように全体をカバーするフォロー体制は顧客の満足度を向上させ、受注後のカスタマーサクセスなど他のフェーズにも好影響を与えます。
週次および月次のKPI 進捗管理で精度の高いPDCAを実現
KPIの進捗管理は週次および月次で実施し、その都度高い精度で以ってPDCAを回していきます。
インサイドセールスの各フェースにおいてPDCAを回すことによって、課題分析からソリューションの適用、また確実なアクションプランを用いてツールの最適化を図ります。
エンタープライズ企業からスタートアップまで幅広く豊富な実績
ASHIGARUは、大企業からスタートアップまで、幅広い企業でのインサイドセールス代行実績があります。
豊富な経験により、顧客のニーズに合わせて確実に成果に結びつくインサイドセールスを提供します。
貴社スタッフへの内製化支援も可能
インサイドセールスのノウハウを持つASHIGARUは、インサイドセールスの内製化支援も対応できます。
顧客が持つ営業担当を当社独自のトレーニング手法により育成し、多くのアポイントと受注をもたらすインサイドセールス部門の立ち上げを支援します。