カスタマージャーニーとは?顧客の購買行動を可視化する戦略的手法を徹底解説
カスタマージャーニーとは、顧客が商品を認知し購入・利用を経て、ファン化に至るまでの一連の体験プロセスを指します。
近年、インターネットやSNSの普及により、お客様と企業の接点は大きく変化しました。お客様は自ら情報を集め、比較検討し、購入を決める時代です。
このような環境で成果を上げるには、お客様の行動や気持ちを深く理解することが欠かせません。
本記事では、カスタマージャーニーの基本から作り方、活用方法までわかりやすく解説します。

目次
カスタマージャーニーとは何か
この章では、カスタマージャーニーの基本的な意味と、なぜ今の時代に必要とされているのかを説明します。
カスタマージャーニーの基本
カスタマージャーニー(Customer Journey)を直訳すると「顧客の旅」という意味です。お客様が商品やサービスを知ってから、実際に購入し、使い続けるまでの道のりを「旅」に例えています。
例えば、新しいスマートフォンを買うとき、まず広告で知り、詳しく調べ、他の製品と比較し、購入を決め、実際に使い、満足したら友人に勧める、という一連の流れ全体がカスタマージャーニーです。
この流れを図式化したものを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。マップを作ることで、お客様との接点(タッチポイント)や、各フェーズにおけるお客様の感情・思考を可視化できます。
これにより、どのタイミングで何をすればよいかが明確になり、効果的なマーケティング施策を打つことができるのです。
なぜ重要なのか
2025年現在、お客様とのタッチポイントは大きく多様化しています。以前は、企業がテレビCMや新聞広告で一方的に情報を届けていました。
しかし今は、お客様が自分で情報を探し、比較サイトで調べ、SNSで口コミを確認してから意思決定する時代です。お客様は一つの接点だけでなく、さまざまな接点を行き来しながら情報を集めます。
このように、お客様の購買行動は複雑になっています。だからこそ、全体の流れを理解し、各段階で適切なアプローチをすることが必要なのです。
カスタマージャーニーの歴史
カスタマージャーニーという考え方は、1998年にイギリスの経営コンサルタント会社OxfordSMによって初めて使われました。その後、マーケティングの世界的権威であるフィリップ・コトラー氏が著書『マーケティング4.0』で、現代版のカスタマージャーニーモデルを提唱しました。
コトラーは、お客様が「認知・訴求・調査・行動・推奨」の5つの段階を経ると説明し、この考え方は今も多くの企業のマーケティング戦略の基礎となっています。
カスタマージャーニーが必要とされる理由

この章では、なぜ現代のビジネスでカスタマージャーニーが重視されているのか、具体的な理由を解説します。
購買行動の複雑化
昔は、お客様の購買行動はシンプルでした。AIDMAという有名なモデル(Attention:注意、Interest:興味、Desire:欲求、Memory:記憶、Action:行動)がありました。
しかし、インターネットが普及した今は、AISASやISASといった新しいモデルが生まれました(Attention:注意、Interest:興味、Search:検索、Action:行動、Share:共有)。
お客様は一直線に購入へ進むのではなく、何度も調べたり、他の商品と比較したり、離脱したりを繰り返します。
この複雑な道筋を理解するために、カスタマージャーニーマップで行動を時系列に洗い出すことが重要です。
タッチポイントの増加
お客様と企業が接するタッチポイントは、WEBサイト、SNS、比較サイト、口コミサイト、メール、実店舗、チャットボット、カスタマーサポートなど、非常に多くなっています。これだけ多くの接点があると、それぞれで違うメッセージを出してしまうと、お客様は混乱します。一貫性のある対応が求められます。
カスタマージャーニーを設計することで、どの接点でも同じ方向性のコミュニケーションを提供でき、これはBtoB(企業向けビジネス)でもBtoC(個人向けビジネス)でも重要です。
購入後の体験の重視
昔は商品を売ったら終わりでしたが、今はサブスクリプション(月額課金制)のサービスが増えています。
つまり、購入後のお客様の体験も重要になったのです。こうした購入後の段階も含めてカスタマージャーニーを設計する必要があります。
お客様が満足して使い続け、ファン(ロイヤルカスタマー)になってもらうことが、ビジネスの成長につながります。
カスタマーサクセスという部門を設ける企業が増えているのも、この流れからです。

カスタマージャーニーの各段階
この章では、お客様が商品を知ってからファンになるまでの道のりを、段階に分けて説明します。
認知段階
認知段階は、お客様が商品やサービスの存在を初めて知る段階です。テレビCMやWEB広告、SNS、友人からの口コミなどのタッチポイントで知ります。この段階では、まだ「買いたい」という意欲は強くありません。
「へえ、こんな商品があるんだ」という程度です。企業がすべきことは、多くの人に知ってもらうことです。
興味・比較検討段階
商品に興味を持ち始めると、企業のWEBサイトを見たり、SNSをフォローしたりします。「もっと詳しく知りたい」「これは自分の悩みを解決してくれるかも」という思考が働きます。
さらに、自分から積極的に情報を集め、他の商品とも比べる段階に入ります。検索エンジンで詳しく調べ、比較サイトで他社製品と比べ、口コミやレビューを読みます。
「本当にこれでいいのかな」と慎重に考え、価格、機能、使いやすさなど、さまざまな角度から分析します。
BtoC(個人向け)では比較的短期間で判断しますが、BtoB(企業向け)では、複数の担当者や決裁者が関わるため、この段階が長くなります。
意思決定プロセスも複雑です。企業がすべきことは、他社との違いを明確に伝え、お客様の不安や疑問を解消する情報を提供することです。
購入・利用・継続段階
いよいよ購入や契約を決める段階では、購買意欲は最高潮ですが、「本当にこれでいいのか」という最後の迷いもあります。
購入のプロセスをできるだけ簡単にし、最後の疑問にすぐ答えられるよう、チャットサポートなどを用意すると効果的です。
購入後は商品やサービスを実際に使い始めます。期待と実際の体験のギャップによって、感情が大きく変わります。カスタマーサクセス部門が、お客様が商品を最大限活用できるよう、使い方のガイドやサポートを提供します。
そして、使った経験をもとに、「継続する価値があるか」を評価します。CRM(顧客管理)ツールを使って、一人ひとりのお客様に合わせたアプローチをすることが効果的です。
推奨段階
商品やサービスに大満足すると、他の人に勧める段階に至ります。家族や友人に口コミで紹介したり、SNSでよい評価を投稿したり、レビューサイトに高評価を書いたりします。
この段階に到達したお客様は、単なる消費者ではありません。ブランドの応援団として、新しいお客様を連れてきてくれます。
お客様が自然に推奨したくなるような体験を提供し、紹介プログラムやレビュー投稿のお願いなど、推奨を後押しする仕組みを作りましょう。
カスタマージャーニーマップの作り方

この章では、実際にカスタマージャーニーマップを作る手順を説明します。
マップの構成
カスタマージャーニーマップは、表のような形で作ります。
横軸(時間の流れ)には左から右へ、時系列で段階を並べます(例:認知→興味→比較検討→購入→利用→継続→推奨)。縦軸(お客様の状態)には、各段階で以下の情報を落とし込みます。
- お客様の行動:何をしているか
- 思考・感情:何を考え、どう感じているか
- タッチポイント:企業とどこで接するか
- 課題:どのような悩みを抱くか
- 施策:企業が何を提供するか
- KPI:成果をどう測るか
これらを図式化することで、全体を見渡せるマップになります。
作り方の8ステップ
ステップ1:ゴール設定
まず、何のためにマップを作るのか決めましょう。
売上増加、お客様満足度向上、リピート率向上など、ゴールによって重視する段階が変わります。
ステップ2:ペルソナ設定
ペルソナ(Persona)とは、「典型的なお客様像」のことです。
年齢、性別、職業、年収、趣味、使うSNS、抱えている悩みなど、実在の人物のように詳しく設定します。
既存のお客様にアンケートやインタビューをすると、より現実的なペルソナが作れます。
ステップ3:購買プロセス定義
自社の商品に合った段階を設定します。
AIDMAやAISASなどの既存モデルを参考にしつつ、自社に合わせてカスタマイズしましょう。
ステップ4:行動を書き出す
各段階で、お客様が実際にどのような行動を取るか、具体的に書きます。
既存のお客様のデータやアンケート結果を活用し、想像だけで書かないことが大切です。
ステップ5:思考と感情を整理
各段階で、お客様がどう感じているかを考えます。
認知段階では「こんなのあるんだ」、比較検討段階では「本当にこれでいいのかな」といった心理を理解することで、どのようなメッセージやサポートが必要かがわかります。
ステップ6:タッチポイント洗い出し
お客様と接するすべての場所を洗い出します。
オンライン(WEBサイト、SNS、メール、広告)とオフライン(店舗、電話、イベント)の両方を含めます。
ステップ7:施策検討
各タッチポイントで、何を提供するか決めます。
認知段階では興味を引く広告、比較検討段階では詳しい比較情報、購入後は使い方ガイドなど、お客様のニーズに応える内容を考えましょう。
ステップ8:KPI設定
各段階の成果をどう測るか決めます。
認知段階ではWEBサイト訪問者数、比較検討段階では資料ダウンロード数、購入段階では購入率など、数字で測れる指標を設定します。
作成時の注意点
企業視点で作らない
「こうなってほしい」という希望ではなく、「実際にこうなっている」という事実をもとに作りましょう。
マーケターや担当者の思い込みではなく、お客様の本当の行動や気持ちを反映させることが成功の鍵です。
最初から細かくしすぎない
完璧を目指すと、いつまでも完成しません。
まずは大まかに作って、使いながら改善していく方が効果的です。テンプレートを活用すると効率的です。
定期的に見直す
お客様を取り巻く環境は常に変わります。
特にデジタルマーケティングの領域では、新しいツールが次々と登場するため、定期的にマップを見直し、最適化しましょう。
データで確認する
設定したKPIを定期的にチェックし、想定どおりかを確認します。
予想と違う結果が出たら、柔軟にマップを修正しましょう。
マップ作成のメリット
カスタマージャーニーマップを作成すると、顧客の視点で考えられるようになり、社内の認識が揃い、何を優先すべきかわかり、成果が測りやすくなり、ブランドの価値が上がります。
一貫性のある体験を提供することで、お客様からの信頼が増し、長期的な関係が築け、ファンが増えていきます。
活用シーン
メールマーケティングでは、段階に合わせて送る内容を変えます(見込み客には教育的な内容、比較検討中には事例、既存客には活用方法)。
コンテンツ作りでは、各段階でお客様が知りたいことをもとに、ブログ記事や動画を作ります。
広告戦略では、段階に応じて広告の内容を変え、マーケティングオートメーションツールを使えば、お客様の行動に応じて自動的にパーソナライズされたメッセージを送れます。
「古い」という意見について
一部で「カスタマージャーニーは古い考え方だ」という意見があります。
たしかに、お客様の行動は複雑になり、一直線には進まなくなりました。パルス型消費のように、突然買ってしまうこともあります。
しかし、これは「カスタマージャーニーが不要になった」という意味ではありません。
むしろ、複雑だからこそ、全体を見渡せるマップが必要なのです。
お客様がさまざまな接点を行き来するからこそ、全体像を把握し、どこでどのようなサポートが必要かを理解することが大切です。

カスタマージャーニーで成果を生み出そう
カスタマージャーニーは、お客様が商品を知ってから購入し、ファンになるまでの道のりを可視化する強力な手法です。お客様との接点が多様化する今の時代、顧客の視点で一貫性のある体験を提供することが成功につながります。
マップを作ることで、お客様の気持ちがわかり、何をすべきかが明確になります。
各段階でのお客様の感情や思考を洗い出し、適切なタッチポイントで価値ある情報を届けることで、購買意欲を高め、ロイヤルティを構築できます。
一度作って終わりではなく、定期的に見直し、最適化を続けることが大切です。
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お客様との接点を強化し、ファンを増やしたい企業様は、ぜひASHIGARUにご相談ください。
よくある質問
カスタマージャーニーについてよくある質問をまとめました。
カスタマージャーニー(Customer Journey)とは、顧客が商品やサービスを認知してから購入、利用、そしてファンになるまでの一連の体験プロセスを指します。
直訳すると「顧客の旅」であり、顧客の行動、思考、感情の変化を時系列で可視化することで、効果的なマーケティング戦略の立案に役立ちます。
カスタマージャーニーマップを作る主な目的は、顧客の視点で購買プロセスを理解し、各フェーズでの適切なアプローチを設計することです。
タッチポイントを洗い出し、顧客の感情や思考を把握することで、施策の優先順位が明確になり、社内での認識共有も進みます。また、KPIの設定により成果測定が容易になります。
カスタマージャーニーという考え方は、1998年にイギリスの経営コンサルタント会社OxfordSMによって初めて提唱されました。
その後、マーケティングの権威であるフィリップ・コトラー氏が『マーケティング4.0』で5Aモデル(認知・訴求・調査・行動・推奨)を紹介し、現代のデジタルマーケティングにおいて広く普及しました。
ペルソナ(Persona)とは、典型的な顧客像を具体的に設定した架空の人物像です。年齢、性別、職業、趣味、悩みなどの属性を詳しく定義することで、顧客の心理や行動を深く理解できます。
ペルソナを設定することで、各フェーズでの施策やコミュニケーションが顧客に響きやすくなり、マーケティングの精度が向上します。
はい、大きな違いがあります。BtoC(個人向け)では購買プロセスが比較的短く、個人の感情や欲求に基づいて意思決定が行われます。
一方、BtoB(企業向け)では、複数の担当者や決裁者が関与するため、プロセスが長く複雑です。比較検討のフェーズが長引き、タッチポイントも多様化するため、より詳細なシナリオ設計が必要です。
横軸には、時系列で購買プロセスの各段階(認知、興味、比較検討、購入、利用、継続、推奨など)を設定します。縦軸には、顧客の行動、思考・感情、タッチポイント、課題、企業の施策、KPIなどを落とし込みます。
この図式により、顧客の道のりを一目で把握でき、各接点での最適化が可能になります。
確かに、顧客の購買行動は複雑化し、一直線に進まなくなりました。パルス型消費のように突発的な購買も増えています。
しかし、これは「カスタマージャーニーが不要」という意味ではありません。むしろ、顧客がさまざまなタッチポイントを行き来する今だからこそ、全体像を可視化し、適切なタイミングで価値を提供する設計が重要です。
主な注意点は以下のとおりです。
①企業の希望ではなく、実際の顧客データに基づいて作成する
②最初から細かく作りすぎず、テンプレートを活用して大まかに始める
③市場環境の変化に対応するため、定期的に見直し、最適化を続ける
④設定したKPIで成果を測定し、柔軟に修正する
マーケティングファネルは、見込み客が購入に至るまでの「数の減少」に注目したモデルです(認知→興味→検討→購入)。
一方、カスタマージャーニーは購入後の利用、継続、推奨まで含めた顧客の全体的な体験エクスペリエンスを描きます。
顧客の感情や思考の変容を重視し、ロイヤルティ構築まで視野に入れる点が大きな違いです。
CRM(顧客管理)ツールは顧客データを一元管理し、各フェーズでの行動分析に役立ちます。マーケティングオートメーションツールは、顧客の行動に応じてパーソナライズされたメッセージを自動配信できます。
また、カスタマーサクセスツールは購入後の顧客体験を最適化します。
これらのツールを組み合わせることで、一貫性のあるアプローチが実現します。
