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カスタマーサクセスにおけるKPI設定は、顧客を成功へ導き収益最大化を実現するための重要な取り組みである。チャーンレートやLTV(顧客生涯価値)、NPS(ネット・プロモーター・スコア)、NRR、CSQLといった指標を定量的に測定し、PDCAサイクルを回すことで施策の効果を把握できる。SaaSやサブスクリプション型ビジネスでは、オンボーディング完了率やリテンションレート、アップセル・クロスセル率が顧客満足度と直結する。2024年から2025年にかけて、KGI(重要目標達成指標)から逆算した数値目標の達成が、顧客ロイヤルティ向上と継続的な成長の鍵となる

カスタマーサクセスKPI設定の教科書〜収益最大化を実現する指標選定と運用実践〜

カスタマーサクセスとは、顧客を成功へ導くために企業が能動的に行う活動や部門のことです。
特にサブスクリプション型のSaaSビジネスにおいては、チャーンレートの抑制や顧客単価の向上が収益に直結するため、適切なKPI設定が欠かせません。

本記事では、カスタマーサクセスにおける代表的なKPI指標と、効果的な設定手順、達成するためのポイントを詳しく解説します。

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カスタマーサクセスにおけるKPI設定の重要性

カスタマーサクセスでKPIを設定することは、顧客満足度の向上と収益最大化を実現するために不可欠です。
なぜKPI設定が必要なのか、その重要性を4つの観点から解説します。

施策の効果を定量的に測定できる

オンボーディングプロセスの支援やアップセル・クロスセル提案など、施策の成果を数値で把握でき、データに基づく意思決定が可能になります。
定量的な指標により担当者の主観に左右されず客観的な評価が行えます。

顧客満足度と収益の相関を可視化できる

顧客満足度が高まればチャーンレートが低下し、アップセル・クロスセルの機会が増え、売上向上につながります。
後述するNPS(ネット・プロモーター・スコア)という指標では、数値が高いセグメントはLTV(顧客生涯価値)も高くなります。

NPSは10点満点で評価し、9-10点を推奨者、7-8点を中立者、0-6点を批判者に分類される指標です。
CSATスコアやレビューサイトでの評価を組み合わせることで、顧客の愛着度や信頼度を測れます。
これらは顧客ロイヤルティの度合いを示し、ロイヤルカスタマーの育成戦略につながります。

担当者の対応品質を評価・改善できる

カスタマーサクセス担当者の応対品質評価にもKPIが役立ちます。
顧客満足度やセッション時間といった指標で、担当者が顧客と良好な関係性を築けているかを判断できます。
数値目標に対する達成度が低い担当者には改善ポイントを示すことで、応対品質を標準化できます。

PDCAサイクルを回して継続的に改善できる

KPIを設定することで、施策の実行、効果測定、課題特定、改善策の立案というPDCAサイクルを回しやすくなります。
定期的にKPIをモニタリングし、目標達成に向けた進捗を分析することで次の打ち手を明確にできます。
KGI(重要目標達成指標)から逆算してKPIを設定することで、最終的なゴールに到達するためのマイルストーンを示せます。

カスタマーサクセスで重要なKPI指標(継続性・収益性)

顧客の継続性を測る指標として、チャーンレート(解約率)とリテンションレート(顧客維持率)が重要である。カスタマーチャーンレートは一定期間内に解約した顧客の割合を示し、レベニューチャーンレートには解約やダウングレードを表すグロスと、アップグレードを含むネットがある。収益性ではLTV(顧客生涯価値)が顧客単価とリピート、契約更新による利益総額を測定する。NRR(売上継続率)は前年度同月のMRR(月次経常収益)をもとに算出され、100%以上なら既存顧客だけで成長している状態である。アップセル・クロスセル率も収益拡大の指標として、2025年のサブスクリプション型ビジネスで重視される

カスタマーサクセスにおけるKPIは、顧客のライフサイクルや評価目的に応じて複数の指標が存在します。
顧客の継続性と収益性を測る指標を中心に解説します。

顧客の継続性を測る指標

顧客の継続性を測る指標について解説します。

チャーンレート(解約率)

チャーンレートは、一定期間内にサービスを解約した顧客の割合を示す重要な指標です。
顧客数ベースの「カスタマーチャーンレート」と、売上ベースの「レベニューチャーンレート」の二種類があります。

カスタマーチャーンレートは、期間内に解約した顧客数を期首の総顧客数で割って算出します。
レベニューチャーンレートには「グロスレベニューチャーンレート」と「ネットレベニューチャーンレート」があります。
グロスレベニューチャーンレートは解約やダウングレードによる損失のみを表し、ネットレベニューチャーンレートはアップグレードやクロスセルによる増加も含めて計算されます。

解約理由を分析し、不満を抱える要因を特定することで、リスクを下げる施策につなげることが可能です。

リテンションレート(顧客維持率)

リテンションレートは、一定期間内にサービスを継続している顧客の割合を示します。
リテンションレートが高いほど顧客との関係性が良好です。
リテンションを高めるには、定着段階での手厚いサポートや、顧客の成功体験を創出する働きかけが必要です。

顧客の価値・収益性を測る指標

顧客の価値・収益性を測る指標について解説します。

LTV(顧客生涯価値)

LTVは、Life Time Valueの略で、一人の顧客が取引開始から終了までに自社にもたらす利益の総額を指します。
LTVを高めるには、顧客単価の向上、リピート購入の促進、継続的な契約更新が不可欠です。
顧客生涯価値を最大化することは、カスタマーサクセスの最終的なゴールといえます。

アップセル・クロスセル率

アップセルは上位プランへのアップグレードを促すこと、クロスセルは関連性の高いサービスやオプションの追加契約を促すことです。
これらのレートが高いほど、顧客がサービスの価値を感じていることを示します。
アップセル・クロスセルは、顧客が抱える課題を解決し、より大きな成功に導くための手段です。

NRR(売上継続率)

NRRは、Net Revenue Retentionの略で、既存顧客からの売上が前年同月と比較してどの程度維持・拡大しているかを示す指標です。
解約やダウングレードによる損失と、アップセル・クロスセルによる増加を含めて算出します。
NRRの計算は、前年度の同月における顧客の今月のMRR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益)をベースに行います。
NRRが100%以上であれば、既存顧客だけで売上が成長していることを意味します。

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カスタマーサクセスで重要なKPI指標(満足度・エンゲージメント・成長性)

顧客満足度とロイヤリティを測る指標として、NPS(ネット・プロモーター・スコア)とCSAT(顧客満足度)が代表的である。NPSは0点から10点で評価し、9-10点の推奨者(Promoter)、7-8点の中立者、0-6点の批判者に分類され、スコアが高いほど顧客ロイヤルティと愛着度が強い。CSATはアンケート調査により感情的価値を計測する。エンゲージメントではオンボーディング完了率、アクティブユーザー数、セッション時間が依存度と定着段階を示す。成長性ではCSQL(Customer Success Qualified Lead)がアップセル・クロスセルの見込みが高いリードを指し、カスタマーヘルススコアが解約リスクを早期発見する

顧客満足度とロイヤリティ、サービス活用度、将来的な収益拡大の可能性を測る指標について解説します。

顧客満足度とロイヤリティを測る指標

顧客満足度とロイヤリティを測る指標につて詳しく解説します。

NPS(ネット・プロモーター・スコア)

NPSは、Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)の略で、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド氏、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
顧客がそのサービスを他者に推奨したいと思う度合いを数値化した指標です。

NPSは、顧客に「このサービスを友人や同僚に勧める可能性はどのくらいありますか」と質問し、0点から10点の11段階で回答してもらいます。
9点から10点をつけた推奨者(Promoter)、7点から8点の中立者、0点から6点の批判者に分類します。
NPSスコアは、推奨者の割合から批判者の割合を引いて算出されます。NPSが高いほど、顧客ロイヤリティが強く、サービスへの愛着度が高いことを示します。

CSAT(顧客満足度)

CSATは、Customer Satisfaction(顧客満足度)の略で、顧客がサービスにどれだけ満足しているかを測る指標です。
アンケート調査で5段階評価などを行い、満足度の高い回答の割合を算出します。
CSATは感情的価値を測る指標として、特定の接点や体験に対する満足度を計測する際に効果的です。
サポート応対後のアンケートで満足度を聞くことで、カスタマーサポートの品質を評価できます。
定期的にCSATを測定し、不満の原因を特定してフィードバックを得ることで、サービス改善のサイクルを回すことができます。

口コミ・レビュー投稿数

レビューサイトでの投稿獲得数も、顧客満足度を測る指標として有効です。
ポジティブな口コミが多いほど、サービスへの信頼度が高まります。
レビューサイトでの評価は、見込み顧客の意思決定に影響をもたらすため、マーケティング戦略としても重要です。

ユーザーエンゲージメントと活性度を測る指標

ユーザーエンゲージメントと活性度を測る指標について解説します。

オンボーディング完了率

オンボーディングとは、サービス導入初期に顧客が自走できる状態にするための支援プロセスです。
完了率が高いほど、顧客がスムーズにサービスを活用できている証拠となります。
オンボーディングプロセスの定義は企業やサービスによって異なりますが、初期設定の完了、主要機能の利用開始といった段階で設定されます。
オンボーディング完了率が低い場合、早期解約のリスクが高まります。自動化ツールを活用し、効率的にプロセスを完了させることで、担当者のリソースを最適に配分できます。

アクティブユーザー数

アクティブユーザー数は、サービスを積極的に利用している顧客の数を示します。
ログイン頻度や機能利用状況をもとにカウントし、サービスの定着度合いを測ります。
アクティブ率を高めることは、依存度を上げ、解約リスクを下げることにつながります。

セッション時間

セッション時間は、顧客がサービスを利用している時間の長さを示します。
セッション時間が長いほど、サービスへの依存度や満足度が高いと判断できます。

ビジネス成長の潜在性を測る指標

ビジネス成長の潜在性を測る指標にはどのようなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。

CSQL(Customer Success Qualified Lead)

CSQLは、Customer Success Qualified Lead(カスタマーサクセス適格リード)の略で、カスタマーサクセス活動によって生まれた、アップセルやクロスセルの見込みが高いリードを指します。
CSQLが多いほど、収益拡大の機会が豊富であることを意味します。

CSQLは、カスタマーサクセス部門が顧客の利用状況や満足度を分析し、追加提案の可能性が高い顧客を特定して営業部門へパスするプロセスで生み出されます。
これらのリードは、成約率が高く、効率的な売上アップにつながります。

カスタマーヘルススコア

カスタマーヘルススコアは、複数の指標を組み合わせて顧客の健全性を数値化したものです。
ログイン頻度、機能利用率、顧客満足度などを総合的に評価し、解約リスクの高い顧客を早期に発見できます

ヘルススコアを設計する際は、自社のビジネスモデルに合わせた評価基準を設定することが重要です。
スコアが低い顧客には優先的にサポートを提供し、リスクを低減する施策を実行します。
ヘルススコアは、カスタマージャーニー全体を通じて顧客の状態を把握し、適切なタイミングでアクションを起こすためのガイドとなります。

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KPI達成のための実践ポイント

KPI達成には、部門間連携による数値目標の共有と、CRMやSFAといった顧客管理ツールを活用した効率的な運用が重要である。営業部門から顧客情報を引き継ぎ、オンボーディングプロセスの成功率を高めることで、リテンションレートとロイヤルティ向上につながる。定期的な見直しと柔軟な調整により、PDCAサイクルを回して継続的な改善を実現する。四半期ごとに乖離の原因を分析し、目標達成への進捗を明確にすることが施策の鍵である。定量的な指標に加え、アンケートやフィードバックといった定性データも併せて評価することで、顧客の感情や課題を把握し、信頼関係を強化できる。2025年も効果的な戦略として重要性が高まる

KPIを設定しただけでは成果は上がりません。
確実に達成するための実践的なポイントを解説します。

部門間連携でKPIを共有する

カスタマーサクセスの成果は、営業、マーケティング、開発など他部門との連携によっても左右されます。
KPIを社内で共有し、共通の目標に向かって取り組むことで、効果的な成果を生み出せます。

営業部門との接点では、顧客情報の引き継ぎが重要です。
契約前に顧客が抱える課題を把握し、カスタマーサクセス部門へ引き継ぐことで、オンボーディングの成功率を高めることができます。
CRMやSFAといった顧客管理ツールを活用し、部門間での情報共有を自動化することで、効率的な運用体制を構築できます。

定期的な見直しと柔軟な調整

ビジネス環境や顧客ニーズは時代とともに変化するため、設定したKPIを定期的に見直すことが重要です。
数値目標が高すぎる場合はモチベーション低下につながり、低すぎる場合は成長の機会を逃します。
四半期ごとや年度ごとに見直しを実施し、過去のデータを分析して目標達成に向けた進捗や乖離の原因を明らかにします。

ツールを活用した効率的な管理

CRMやカスタマーサクセスツールを活用することで、KPIの測定や分析を効率化できます。
自社のビジネスモデルに合ったツールを選定し、データ収集の自動化により、担当者の負担を軽減します。

定性データも併せて評価する

KPIは定量的な指標ですが、顧客からのフィードバックといった定性データも併せて評価することで、数字だけでは見えない顧客の感情や課題を把握できます。
アンケート調査を通じて顧客の声を収集することで、数値の背景にある意味を理解できます。
定量と定性の両面から顧客を理解することで、顧客との信頼関係を強化することができます。

適切なKPI設定でカスタマーサクセスを成功させよう

カスタマーサクセスにおけるKPI設定は、顧客満足度と収益最大化の重要な取り組みです。
チャーンレート、リテンションレート、LTV、NPS、オンボーディング完了率、CSQL、NRRを定期的にモニタリングすることが鍵となります。

課題分析と目標設定、部門間連携やツール活用、定期的な見直しでPDCAサイクルを回し、継続的な改善を実現します。

KPI設定や運用にお悩みの企業様は、ASHIGARUにご相談ください。
貴社のビジネスモデルに合わせた最適なKPIを設定し、データに基づく施策をご提案します。

よくある質問

カスタマーサクセスとKPIについてよくある質問をまとめました。

カスタマーサクセスのKPIとは何ですか?

顧客の成功と自社の収益を数値で測定するための指標です。
チャーンレートやNPS、LTVなどが代表的で、施策の効果を定量的に評価し、継続的な改善を可能にします。

チャーンレートとリテンションレートの違いは?

チャーンレートは解約した顧客の割合、リテンションレートは継続している顧客の割合を示します。
チャーンレートが低く、リテンションレートが高いほど良好な状態です。

NPSスコアはどのように計算しますか?

0〜10点で顧客に推奨度を評価してもらい、推奨者(9-10点)の割合から批判者(0-6点)の割合を引いて算出します。
スコアが高いほど顧客ロイヤルティが強いことを示します。

LTVを向上させるにはどうすれば良いですか?

顧客単価の向上、契約期間の延長、アップセル・クロスセルの促進が効果的です。顧客の成功体験を創出し、長期的な関係性を構築することが重要です。

オンボーディング完了率が低い場合の対策は?

初期設定の簡素化、ガイダンスの充実、自動化ツールの活用が有効です。
顧客が早期に価値を実感できるよう、スムーズな導入支援を提供しましょう。

NRRとは何を示す指標ですか?

既存顧客からの売上維持・拡大率を示す指標です。
100%以上であれば、解約損失を上回る収益拡大ができており、既存顧客だけで成長している状態を意味します。

カスタマーヘルススコアはどう活用しますか?

複数の指標を組み合わせて顧客の健全性を数値化し、解約リスクの高い顧客を早期発見します。
スコアが低い顧客には優先的にサポートを提供し、リスクを低減します。

CSQLとはどのようなリードですか?

カスタマーサクセス活動で発見した、アップセルやクロスセルの見込みが高いリードです。
利用状況や満足度から特定し、営業部門へ引き継ぐことで効率的な収益拡大につなげます。

KPIはどのくらいの頻度で見直すべきですか?

四半期ごとまたは年度ごとの見直しが推奨されます。
ビジネス環境や顧客ニーズの変化に応じて、目標値や評価指標を柔軟に調整することが重要です。

定量データだけでなく定性データも必要ですか?

はい、必要です。KPIの数値だけでは顧客の感情や課題の背景が見えません。
アンケートやフィードバックなどの定性データを併せて分析することで、より深い顧客理解が可能になります。

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