目まぐるしく変化する市場環境の中、多くの企業は新たなビジネスモデルを模索せねばならない状況となっています。
消費がモノからコトに移り、従来のビジネスモデルは崩れつつあります。
モノ消費とは「商品を所有することに価値を置く」消費傾向のことであり、一方コト消費とはアクティビティやイベントなど、「所有のみでは得られない体験・経験に価値を置く」消費傾向のことです。
これまでのモノ消費という売り切り型では、売った時点で顧客との関係が切れてしまいます。
継続的に繋がりを持つには、サブスクリプションモデルを採用する方が有効なのです。
しかしながらサブスク化すれば必ずしも儲かるわけではなく、顧客を離さない(解約率を低水準で維持する)ための戦略や、商品自体のレベルアップは当然欠かせません。
サブスク化で顧客のニーズをつかみやすくするのは、「入り口」を整えたに過ぎないという認識を持つことが肝要です。
つまり常に顧客のニーズを把握し続け、モノやサービスの品質にフィードバックし続け、顧客に寄り添い続けること(カスタマーエクスペリエンス)で、「顧客を成功に導く」という「カスタマーサクセス(Customer Success)」の施策が必要となります。(オンボーディング)
このように前編では「カスタマーサクセスの概念」についてご説明させていただきましたが、後編では実際の「カスタマーサクセス事例」についてBtoB、BtoCに分け、ご紹介させていただきます。
BtoB
Sansan
法人向けクラウド名刺管理サービス
・ミッション
「顧客の成功に向けてSansanの価値を届け、LTV(ライフタイムバリュー)最大化を実現する。
・商品について
創業当初より、日本ではまだ珍しかったサブスク型事業をスタート。
SansanのSaaSを利用することで、単に名刺の情報だけでなく、取引先の過去の取引実績などの情報もあぶりだせる仕組み。
商談を進めるための役立つ情報を把握することで、顧客はアップセル・クロスセルを生み出すことができ、ツールの継続利用を実現している。
・カスタマーサクセスの捉え方
2012年に、日本企業で初のカスタマーサクセス部を発足して以来、「解約率10%」を達成するための基盤整備を意識し、「顧客の成功に向けてSansanの価値を届け、LTV(ライフタイムバリュー)最大化を実現する」をミッションに掲げ、顧客満足度を高めている。
データから顧客一人一人を知り尽くし、予測的な対応をとるカスタマーサクセスへと進化させることを目的に、カスタマーサクセスプラットフォーム「Gainsight」の導入し、顧客の要望を先回りして能動的なアクションを行う。(プロアクティブ)
Slack(アメリカ)
企業(ビジネス)向けコミュニケーションツールサービス
・ミッション
顧客を「Slackが無いと仕事にならない状態」に
・商品について
対面会話同様にオンラインで共同作業をしたり、プロジェクトに必要な人物や情報を集約し、円滑なコミュニケーションで人と人とを繋げることで、効率的に仕事を進めるコミュニケーションツール。
さらに業務に必要となるさまざまなツール・サービスを全て統合し一元化できるシステム。
・カスタマーサクセスの捉え方
顧客に「Slackが無いと仕事にならない状態」になってもらう為には、顧客の事業利益への貢献を実証することが必須という考えの元、顧客ごと・部門ごとに「成功事例」を集約し、具体的に定義して愚直に追求しKPIを実現させる。
定期的にイベントを開催し、顧客自体が他社の成功事例を共有できる機会を提供している。
また技術的なトレーニングを実施することにより、正しくツールの使い方を学び、Slackの価値を享受できるような環境を提供している。
BtoC
顧客が個人という特徴から、BtoBとは違ったアクションが求められます。
より「顧客心理」への寄り添うことが求められ、選ばれる理由も「成果」を求められる「顧客体験」から「感動体験」に置き換わります。
メルカリ
スマートフォンでフリーマーケット利用ができるアプリケーション
・カスタマーサクセスの捉え方
カスタマーサクセス部門を、最初期から内製運用。
顧客にはできないことを「肩代わり」することで、安心・安全な取引を実現し、ダウンロード数累計1億を誇る。
◎匿名で素早く発送できるよう「メルカリ便」の構築
◎「メルカリサロン」「VoC読み込み合宿」にてユーザーの利用体験のヒアリング
◎顧客への対応(有益な意見を寄せたユーザーに改善したことを伝える)
メルカリは顧客同士のコミュニケーションが活発なため、CtoCの中でどれだけスムーズに取引きできるか、その部分をCS(カスタマーサポート)がアシストし、安心感を提供し、顧客の成功体験を追い求めるための仕組みづくりを続けている。
スターバックス
コーヒーショップ
・カスタマーサクセスの捉え方
チェーン店のコーヒーショップとして単価は高いものの、幅広い顧客のニーズを満たすことで成功。
◎フレンドリーな接客
◎ゆっくり過ごせる深めのソファ
◎電源・Wi-Fi完備
◎期間限定メニュー
◎定期的にコーヒー講座を開催
◎スターバックスカード(Web登録することでポイントを獲得できる)
「滞在する時間」そのものを楽しめる仕組みが施され、訪れたくなる場所の提供と、定期的に利用したくなる工夫で、衰えることのない人気を獲得。
また「隙間時間でちょっと仕事を進めておきたい」「打ち合わせに使いたい」といったビジネスパーソンのニーズにも応えている。
カスタマーサクセスの求められる形
生活スタイルや価値観の多様化により、今までのように商品・サービスの画一化された価値を一方的に押し付けるだけでは、顧客はその商品やサービスに満足しなくなりました。
さらにスマートフォンの普及に伴って、SNSを始めとする多彩なインターネットサービスが登場し、顧客との接点も多様化しています。
そこでご提案したいのが、カスタマーサスティナビリティという弊社独自の新概念です。
直訳すると、サスティナビリティ=持続可能 となりますが、カスタマーサクセスから時間の概念をプラスしたものです。
お客さまのビジネスにおける様々なタッチポイントに、「生きたコミュニケーション」を提供することをミッションに、持続可能な関係構築を目指すというものです。
弊社の新サービス「ASHIGARU」のスタッフは「元・営業ハイパフォーマー」のみ。
つまり「常に最前線で営業として顧客と折衝してきた『攻め』のスペシャリストが、カスタマーサクセスなどのいわゆる『守り』の業務」を行うことにあります。
生産性の向上にとどまらず、クレーム対応からの解約阻止はもちろん、そこからの自然なクロスセルやアップセルこそ「ASHIGARU」の真骨頂です。
カスタマーセントリック(顧客中心)を徹底的に取り組み浸透させることで、持続可能な「顧客満足のアウトソーシング」を、カスタマーサクセスからカスタマーサスティナビリティへと昇華した「ASHIGARU」を、是非お試しください。