昨今、注目のビジネスモデルとしてあらゆる分野で広がり続けている「サブスクリプション」。
企業は「売る」から「長く使ってもらう」へと発想を変え、顧客を支援し続けるソリューションを提供するようになりました。
その根底には「カスタマーサクセス(Customer Success)」という概念があり、近年台頭するSaaS業界で、重要視されている考え方です。
SaaSとは
SaaSとは、「Software as a Service」(サービスとしてのソフトウェア)の略で、クラウドで提供されるソフトウェアのことを言います。
従来のパッケージ製品のように、ユーザー側がソフトウェアをインストールするのではなく、ベンダー側がソフトウェアを稼働することで、ユーザーはネットワーク経由にてソフトウェアの機能性を活用します。
例に挙げると、Gmail・Chatwork・Slack等のコミュニケーションツールなどがこれに当てはまります。
その他、会計ソフトやプロジェクト管理ツールなど、ソフトウェア形式で販売されていたあらゆるサービスのクラウド化が進んでいます。
このようにソフトウェアサービスを安価にスピーディに、かつ誰でも簡単に利用することができ、複数人でのデータ共有も容易にする点などSaaSは大変便利なものです。
在宅勤務やテレワークといった働き方が求められるコロナ禍では必須で、パソコンさえあれば、日本全国どこにいてもクラウド経由でサービスを利用できます。
サブスクリプションとは
SaaSのサービスは、サブスクリプションモデルのビジネスモデルで展開していることがほとんどです。
つまり月額定額制で利益を上げていくので、継続顧客が多ければ多いほど、利益をあげることができるビジネスモデルとなっています。
当然、新規顧客を獲得するまでには、プロダクト開発費・広告費・人件費など様々な経費が掛かります。
それらを回収するためには、一般的に1~2年以上ユーザーに継続運用してもらう必要があると言われています。
つまり2年以内にユーザーが解約してしまうと、事実上の赤字ということです。
このような売上構造から、SaaS事業では短期間での解約(チャーン)を防ぐ取り組みが欠かせないのです。
カスタマーサクセスとは
この解約率(チャーンレート)を下げるための施策として、カスタマーサクセスがあります。
前出の通り、SaaS事業では解約率が低ければ低いほど、利益が上がります。
さらにユーザーにオプション契約を追加させることで、アップセル・クロスセルの利益拡大が図れます。
そのためには、ユーザーがそのプロダクトを利用すること(カスタマーエクスペリエンス)で、「期待した成果・成功を手に入れること」を保証しサポートする必要があります。(=オンボーディング)
それが結果、ユーザーの継続利用に結び付け、LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)を最大化、させることができるのです。
カスタマーサクセスを行うための必要スキル
カスタマーサクセスでは、顧客の不満にアプローチしたり、「解約したい」と言う顧客心理に伴走し、一対一のデプスインタビューを通し「本当の解約理由の調査をすること」で解約率改善に繋げます。
その上で、顧客を成功へと導くことが可能だと提案するのです。
このような働きかけの中で、必要となるスキルが3つあります。
顧客との関係構築スキル
カスタマーサクセスでは、顧客が潜在的に抱えている問題・課題の本質を見極め、先回りしたサポートを行う必要があります。
そのため、顧客との関係構築を能動的にスムーズに進めなければならず、密にコミュニケーションを取り、課題分析するスキルが必須でしょう。
データ分析スキル
データを正しく客観的に分析することで初めて、的確な業務設計が行えます。
また、データを分かりやすく説明し、提案できるスキルも大切です。
課題解決スキル
顧客が抱えている問題・課題は、一つの部署のみで解決しないことが多く見られます。
そのためカスタマーサクセスは部署間の垣根を越え、俯瞰した立場からの解決策を提案する能力が求められます。
サクセスとサポートの違い
従来のカスタマーサポートでは、お客様対応はコストとして扱われ、対応コストをいかに削減するかが求められていました。
一方カスタマーサクセスは、コンタクトを取り続け、寄り添うことが収益に繋がる、プロフィットセンターとなります。
カスタマーサクセスが顧客の成功を何よりのミッションとし、NPSを基準に顧客をロイヤルカスタマーへと成長させることで、自社セールスに大きく寄与することができるようになるからです。(NPS=顧客のロイヤリティ把握のための指標)
弊社の新サービス「ASHIGARU」のスタッフは「元・営業ハイパフォーマー」のみ。
つまり「常に最前線で営業として顧客と折衝してきた『攻め』のスペシャリストが、カスタマーサクセスなど、いわゆる『守り』の業務」を行うことにあります。
生産性の向上にとどまらず、クレーム処理からの解約阻止はもちろん、そこからの自然なクロスセルやアップセルこそ「ASHIGARU」の真骨頂です。
前編は「カスタマーサクセスの概念」について、ご説明させていただきました。
後編は実際の「カスタマーサクセス事例」についてBtoB、BtoCとに分け、ご紹介させていただきますので、どうぞご期待ください!